ユリ(百合)/ユリ科ユリ属/秋植え球根
ユリの園芸品種は、アジアティック・ハイブリッドとオリエンタル・ハイブリッドの基本2系統が代表的。これら園芸品種の基になったユリの多くは日本に分布している。一覧表はこちら
リンネの弟子
ツンベルグは、1775年に来日しテッポウユリやオニユリ、カノコユリなどを命名したし、シーボルト(1823〜1829年滞在)は、日本のユリをヨーロッパに持ち帰って紹介したので、 ハイブリッドの多くはヨーロッパで交配・改良され逆輸入されている。
花びらは6枚あるように見えるが外側3枚は萼。開花期は右の表
5月 オトメユリ
6月 ヒメユリ
アジアティック・ハイブリッド
ロンギフローラム・ハイブリッド
テッポウユリ
7月 オリエンタル・ハイブリッド
ヤマユリ、サクユリ
オニユリ、コオニユリ
8月 カノコユリ
スカシユリ・モナLilium Asiatic Hybrids 
スカシユリは、日本のエゾスカシユリやイワトユリ、ヒメユリ、オニユリなどと、欧州のオレンジリリーを基に交配・改良された園芸品種です。アジアティック・ハイブリッドのユリを総称してスカシユリとしています。
代表的品種は、コナチカットキング、ナボナ、ロリーポップなど魅力的な品種が多く、栽培が容易なので人気があります。
スカシユリの名前は、花びらの間が透けていることからきていて花は盃状で上向きに咲き
ます。日光を好み、強健で暑さや病気に強くカラフルな色合いが多いのが特徴ですが香りがないのが残念。
撮影:2004/6/8
カサブランカLilium Oriental Group 'Casa Blanca'
カサブランカは、ヤマユリ、サクユリ、カノコユリなどの交配種でオリエンタル・ハイブリッドの代表的品種です。オリエンタルハイブリッドのことを海外ではジャパニーズ・ハイブリッドと呼ばれることがある。
オリエンタル・ハイブリッドの系統は、暑さに弱い為、風通しの良い、やや日陰の涼しいところを好みます。香りが良いのも特徴です。
撮影:2007/7/24
テッポウユリ(鉄砲百合)Lilium longiflorum
多くの百合は花の根本近くから花弁が分かれていますが、テッポウユリは筒状になっていて先の方が分かれています。
昔の鉄砲はこんな形だった?
沖縄から台湾にかけて原産地が分布する。園芸種「ひのもと」は全生産量の90%を占め、アメリカから来た「ジョージア」が続く。
近年、「新テッポウユリ」がもてはやされている。やや上向きに咲き、1年草のようにタネから栽培できる。
撮影:2008/6/23
オニユリLilium lancifolium
山野草花壇に咲いていて蝶が寄ってきます。オニユリはムカゴ(珠芽)ができるのでコオニユリとの違いが分かる。また花弁にある密線の出来方でも見分けられます。

撮影:2006/8/4

カノコユリLilium speciosum
原産地は日本、中国、台湾。
鹿の子絞り状の斑点がある。
開花期は最も遅く8月。

撮影:2007/8/1
栽培・管理
○植え付け/適期は10月から11月初め
アジアティック系は日当たりを好みますが、オリエンタル系は西日の当たらない涼しい場所を選んで植えます。図のように上根が伸びることを考慮して深植えにします。購入した(掘り上げた)球根は、植え付けまで乾かさないこと。趣味の園芸2008/6ではサンドイッチ植えが紹介されています。つまり球根の周りだけ新しい赤玉土で囲む植え方をすると病害に犯されにくくなります。
○施肥/発芽時と開花時
秋に植え付けた球根からは、3月の中旬以後に芽を出してきます。この時期には球根の下に出る根のほかに上根が発生します。3月に与える追肥は、この上根から養分を吸わせるため。開花時に与える追肥は球根の充実を図るためです。花がなくなった地上部は、葉が枯れるまで、そのままにします。
○病害虫/アブラムシ対策と花柄摘み
新芽にはアブラムシがやってきますが、モザイク病を運んでくるので要注意です。モザイク病に罹ったら廃棄するしかありません。花柄摘みは必ず手で折り取り、ハサミは使用しないほうが安全です。
○植え替え
3〜4年に一度くらいは植え替えをします。適期は10月、上根は切除し、分球していたら手で分けます。