無農薬・有機栽培2018
 フラワーランドでは「人と環境に優しい園芸」「農薬に頼らない循環型園芸の実践」を目指す。
       (2010年10月の世田谷トラスト資料より)
                             
1.取り組みの経緯
(1)殺虫剤のマラソンやスミチオン、殺菌剤のダコニール、サプロールなど化学農薬の散布は2008年以後行っていない。除草剤は当初から使っていない。
無農薬に取り組み始めた2005年頃にはアグリクール、碧露、緑豊などを利用したが、禁止農薬成分のアバメクチンが検出され使用禁止となった。以来ニンニクを漬け込んだ木酢液とニームオイル、唐辛子エキス混合液を病虫害の予防のために毎週散布している。寒期に行うヒメリンゴなどへの石灰硫黄合剤塗布は、この花壇に取り組む2003年以前から続けられている。

(2)3月からバラなどに爆発的に発生するアブラムシに対して木酢液+ニームオイルでは無力なので,発生初期段階に集中的に手でとる。またヒメリンゴに飛来するコガネムシは交尾して地に潜る前に払い落として捕殺する。そのほかカイガラムシやハダニなどなど個々の害虫に対しては、活動の手引き(マニュアル)に駆除方法を決めている。

(3)ウドンコ病など糸状菌に対しては、剪定によって風通しや日当たりの改善に努め、予防を第一とする。スモークツリーのうどんこ病には有機の雫に効果が認められるが高価なのが難。ヒメリンゴの赤星病は近隣の病原撤去(ビャクシン類)が望ましいが、葉の裏面から胞子を放出するので病変の葉を除去するに止まる。

(4)土壌に起因する病害に対して理解は十分とはいえない。土壌微生物の多様性とそのバランス改善のため2013年度は木内先生由来の菌体肥料の制作と試用、2015年からはタキイ種苗のバイオダルマ菌体肥料を利用している。病原性糸状菌の抑制、連作障害の克服など、期待する効果は確認できていない。

(5)7月、地温の上昇とともに西洋ノコギリソウ、春咲きシューメイギク、ルドベキアなどで白絹病が発生する。罹病株と周囲の土を撤去するとか、深さ30cmの天地返しなどの対策を行っているが根絶できていない。現状では白絹病菌が好む植物を花壇に植える場合は、鉢植えにして埋め込むことが有効な手段となっている。花壇を覆うような落葉樹を植えることは地温上昇を和らげると期待されるが、景観との調和を考慮して実現していない。代替え策としてトウゴマを植えてクレマチスのための日陰をつくる対策は有効と思われる。

(6)2010〜2012年にヒメリンゴが3本続けて枯れた。原因は土壌病原菌による紋羽病またはカミキリムシによる食害によるとされているが定かではない。ドウガネブイブイの食害が樹勢を弱らせたのも原因の一つとも疑われている。ハマキムシやドウガネブイブイの捕殺、赤星病の葉っぱ取りなど、病虫害の防止に努めている。カミキリムシは発見しにくいが、木くずが出ていたら、すかさずキンチョールを穴に注入する。最後に枯れたヒメリンゴは、足下にシマアシを植えていたために木くずの発見が遅れた。

(7)バラの周囲にチャイブを、アカンサスの周りにはフレンチマリーゴールドを植えているがコンパニオンプランツとしての効果は確認出来ていない。

(8)花壇は原則無肥料とし化成肥料などの化学肥料は使用していない。寒肥は特定の植物に対して1月に有機固形肥料を施肥する。固形肥料は従来12月に制作していたが2017年から市販品に切り替えた。そのほか特に多肥を好む植物に対しては有機肥料を元肥として適宜施用する。

2.適期適栽、適材適所
適期適裁・適材適所を合い言葉に2014年から活動に取り組んでいる。
(1)主要な植物の栽培カレンダーを各メンバー毎に検討を進め、当花壇に合ったものにまとめる。
この活動は各メンバーが当該植物の育て方に精通することを目指す。年に2度行われる花壇計画会合の時にメンバー全員で検討結果を確認して共有する。
活動日毎の作業はリーダーが設定・指示する。気象条件などによる遅れやトラブルにも適切に対応する。

(2)新たな品種を植える場合は事前にその植物の特性を十分に調査し、植え場所の日当たり、風通し、水はけなどを吟味選定する。更に植え付け後の手入れなど手落ちのないように努める。

(3)夏冬の年2回行う花壇計画話し合いで植栽の適材適所を見直す。連作障害が発生しやすい植物は翌年、翌々年の配置も考慮する。また耐暑性、耐寒性、耐病性に優れた植物に入れ替えるなど検討する。特に夏の高温多湿状態を防止するためには植栽の組み合わせによる日陰や風通しの確保を図る。遮光ネットを設置するなどしても心配な場合は、鉢上げして涼しい場所で夏越しさせる。

3.そのほか
(1)土壌に起因する病害は見えにくいが植物を育てるうえで土壌微生物の正常な活動は欠かせない。適宜堆肥を補充するとともにタキイの菌体肥料”バイオダルマ”を施用して有用微生物の密度を高め、病原性糸状菌の抑制を図る。詳細な土壌分析は望めないが現状の土壌酸度6.5程度と問題になっていない。中耕して土壌中に空気を入れ根の呼吸や微生物の活動を助ける。

(2)病虫害は予防が第一、第二が早期発見または予兆の察知、第三は適切な対策と処置である。
生育状態の観察力,判断力を養い、状況に応じたアクションが必要となる。

(3)軟弱な苗を花壇に植えることは病害が生じる原因になる。育苗の過程での水やり過多や日照不足による徒長を防ぎ、頑健な苗に育てる。

(4)地植えの植物への水遣りは原則不要。日照りが続いたときや植えたばかりの苗にはその限りではないが、地温が高い日中は避ける。特に高温多湿に弱い植物には注意が必要。

(5)ウイルスに汚染されたはさみをクリスマスローズやユリの剪定に使うなど、人為的な感染はあってはならない。アブラムシ媒介によるウイルス病に罹りやすいユリなどには根元にオルトランを蒔いておく。

●過去に使っていた化学農薬や化学肥料を使わなくても花壇を維持できる感触はある。日常発生する個々の問題に対して解決策を模索しながらマニュアル化(活動の手引き)を進めたい。
                                               2018/3/31文責:小野